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旅、ときどきネコ

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個人旅行、一人旅大好き。デジタル一眼レフによる旅先の思い出を中心に時々ネコの写真です。09年11月から半年間はドイツ滞在記をupしていました。

ロンドン旅行7~アフタヌーンティー前編

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アフタヌーンティーとは全然関係のない写真ですが、セントジェームズパークにいた子どもたち。春真っ只中の公園、水仙と戯れる幼き兄妹。うーん、イギリス児童文学の世界そのものです。
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走り出しました。後姿まで絵になります。

当初ロンドンではアフタヌーンティーに行く予定はありませんでした。美術館やらマーケットやらHMVやら、行きたいところはいくらでもあるのに食事にそんなに時間をかけるなんてもったいない!という心境だったのです。しかし、実際にロンドンにいる間に気が変わってきました。せっかく大好きな街にいるのに、スタンプラリーよろしくあちこちにせわしく移動し続ける方がよっぽどもったいないのでは。くつろげる空間でお茶を飲みつつ、買ったばかりの本を片手にゆっくり時間を過ごす方が贅沢です。
ということで、ロンドン最終日にはアフタヌーンティーをしてきました。

わたしが泊まったホテルにはアフタヌーンティーが出来るような素敵なカフェはありません。そこで向かったのが、ランドマークホテルです。元々は聞いたことがないホテルだったのですが、コッツウォルズへのバスツアーのピックアップ場所だったため、予備知識なく中へ入ったところあれまあびっくり。
”高級感のある”としか表現できない豪華だけど派手すぎない内装。スタッフの落ち着いた雰囲気。交通量の多い通りに面しているのに、ドアを一枚隔てただけで完全に別世界です。中でも目をひくのが中庭にあるカフェ。八階建てなのに天井まで吹き抜けになっているため、室内なのに屋外のような印象です。頭上はるか高くにあるガラス天井からは、太陽がさんさんと差し込んでいます。温室のような…といったら伝わりますでしょうか。背の高いやしの木とあいまって、アジアンリゾートのような明るく開放的な雰囲気もあります。
あー、こんなところでゆっくりお茶できたらなあ。アフタヌーンティーをするんだったら絶対にここで!見た瞬間に決意していました。
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そんなこんなでホテルに辿り着いたのは月曜午後。それまでは憧れのホテルでお茶なんて♪と意気込んでいたものの、いざ着いてみると少々怖気づいてきました。初日にヒールで歩き回っていたら足首がおかしくなってきたため、この日はスニーカーです。コートはフィレンツェで買ったマックスマーラのため恥ずかしいものではありませんが、レンズ二本が入ったバッグはどう見てもカジュアル。
…この格好でこんなに高級なホテルに入っていいん?ホテルに対して失礼なんちゃうやろか…。そりゃあ、向こうも商売だからつまみ出されることはないやろうけど「ふん、場違いな客め」だなんて内心思われたらイヤやわあ。ちょい待った、そもそもこのホテルではアフタヌーンティーをやってるん?今まで何の疑問も抱いてなかったけど、よく考えたらそういったメニューがあるなんて何の保証もないわ。…ガイドブックにはホテル自体掲載されてへんしなあ。いやいや、これだけ立派なホテルでアフタヌーンティーがないなんて、そんなことありえへんわ。で、入るんか、わたし?……。えーい、入ってしまえ!あとのことはそのとき考えたらええんや!
しばらく逡巡した挙句、思い切って入ってみました。

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入ってみるとやっぱり素敵です。うわー、めっちゃゴージャスやなあ。思わずきょろきょろしてしまいます。
「お客様、何かをお探しでしょうか」すぐに声をかけられました。実際に使われたのはマダム。米語ではma’amをよく使いますが、そういえば英国ではmadamと呼びかけられることばかりです。三年前はもっとカジュアルな呼びかけ、たとえば”Honey, is that all?”とか”Anything else I can do for you, love?”とかよく呼ばれたんですが。…わたしが年をとっただけじゃなくて、普通のスーパーと高級ホテルの違いが大きいということにしておきます。
「あ、ありがとうございます。あ、アフタヌーンティーを探し…えーと、アフタヌーンティーはメニューにあり、ありますか?」なんだかキョドってしまいました。
「ございますとも。まっすぐ進んでいただいて右手、さらに進んだところにウィンターガーデンというレストランがございます。どうぞごゆっくり」
「ありがとうございます!」よかったぁ、アフタヌーンティーやっぱりあるんだ!

ウィンターガーデンとは、先日見かけた吹き抜けの名前でした。ピアノの生演奏もしているし、実にいい雰囲気です。
「あのー、アフタヌーンティーをお願いします。一人ですがよろしいでしょうか?」
「もちろん!あそこに二人用の落ち着いたテーブルがございますので、そちらにご案内いたします」
イースター休暇中だし予約はないけど大丈夫?と思いましたがあっさり入れました。周りを見るとジーンズ姿の人も結構います。なーんだ、あそこまで心配することなかった。でもやはり小奇麗な格好の方がより雰囲気を味わえるように思います。

アフタヌーンティーはこれぞ英国というトラディショナル、チョコレート尽くし、グルテンフリーのヘルシーな三種類です。チョコレートにも心ひかれたものの、飽きてくるかなあと無難にトラディショナルを選びました。プラス5ポンドでシャンパンをつけることもできますが、これからドイツに帰るのに酔っ払っては困るので残念ながらやめておきました。
メニューが決まったところで、肝心のお茶は何にするか。その数なんと二十種類。これは迷います。
せっかくロンドンにいるんだから、ハーブティーや東洋のお茶はパス。となると、正統派のブラックティーから選ぶとするか。紅茶の王様、ダージリンは…実はあんまり好きじゃないし今日はストレートな気分じゃないなのでパス。アッサムはコクがあってミルクティーにはいいけど、普通すぎるかなあ。パス。アールグレイは好き~。オーガニックローズグレイ?初めて聞くなあ。なになに、アールグレイのバリエーションの一種でピンクの薔薇の花びら入り…。ほほう、優雅な。これかウィンターガーデンブレンドかな。レストランの名前を冠しているだなんて、自信ありのお勧め紅茶に違いない。ウィンターガーデンブレンドの方は甘いものと一緒に召し上がるのに最適、か。どうしよう。紅茶だけを楽しむんだったらローズグレイだけど、ケーキと一緒だったらブレンドの方が合う?…よし、ここはウィンターガーデンブレンドで。
紅茶ひとつ決めるのにえらく悩みました。

オーダー後、最初に来たのは紅茶のたっぷり入った白いポットです。カップに注ぐとふわっと広がる香りがなんとも芳しいです。一口飲んでみるとミルクティーにぴったりなしっかりした味。でも、渋さは控えめです。渋味が悪だというわけではないのですが、マイルドなものが飲みたい気分だったのでホッとしました。あー、これぞ美味しい紅茶だ。
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何年か前、香港のペニンシュラホテルでアフタヌーンティーをしたところ、紅茶が美味しくないことにびっくりしたことがあります。な、なにこれ??これを美味しく感じないのってわたしだけ?かの有名なペニンシュラホテルなのに?自分の味覚を疑っていると母と目が合いました。母もカップを片手に微妙な顔です。小声で尋ねてしまいました。
「ねえねえ、おかーさん。これ……美味しくないよね?」
「そう思ってたところ。このお茶全然よくないねぇ。古い葉っぱでも使ってるのかしら」
わたしはコーヒーを飲まないので良し悪しがさっぱりわかりませんが、外出先で美味しい紅茶を飲めることなんてほとんどありません。大抵はティーバッグ。安物ではなくやや高級なものを使っていたとしても、熱湯を使っていないのできちんと葉っぱが開いていなかったりします。中でも、最悪なのが機内食の紅茶。色つきのお湯というだけならまだしも、コーヒーの匂いが移っていたりします。安物のコーヒーと安物の紅茶のブレンドって、最悪な組み合わせです。

今まで飲んで感激したのは、神保町にあるティーハウスタカノのアイスキャンブリックティー。要は蜂蜜入りのアイスミルクティーなのですが、これがめちゃめちゃ美味しいです。こんなアイスティーがあったんだ!と初めて飲んだときはかなりの衝撃を受けました。冷たくなるとものの匂いは飛びがちになりますが、ここのは冷たさにもミルクにも負けない力強い味わい。かといってくどくなく、すごくすっきりさっぱりしています。二種類の葉っぱをブレンドして、15分かけて煎れるそう。夏に帰省するときはここの紅茶をお土産にするのですが、何度やってもお店ほどは美味しく作れません。チーズ入りのホットエッグサンド片手、すぐ近くにある三省堂で買った本を片手、時々キャンブリックティーを飲みながら…なんて最高のひとときです。以前は時間帯によっては分煙だったものの、現在は完全禁煙になったということで帰国後に是非行きたい場所です。

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ウィンターガーデンから見える空。この日は気持ちのよい青空でした。

実際の料理についての詳細はこちらから。
ロンドン旅行8~アフタヌーンティー後編
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2012年8月追記
ひとりでアフタヌーンティーすることについて、追記しました。
ひとりアフタヌーンティー
by monisha | 2010-04-27 05:32 | London

by monisha