旅、ときどきネコ

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個人旅行、一人旅大好き。デジタル一眼レフによる旅先の思い出を中心に時々ネコの写真です。09年11月から半年間はドイツ滞在記をupしていました。

ロンドン旅行2~ビリーエリオット

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ビッグベンを普通に撮るとこうなります。夕日でうっすら紅く染まっています。ディズニーのピーターパンにビッグベンの周りを飛ぶシーンがありました。

前日の「ロンドン旅行1」の続きです。

以下、映画を見たことがある方は「あー、あのシーンね」とすぐにわかるかと思いますが、映画未見の方にはネタバレになってしまいますのでご注意を。










ビリーの両親に年が近づいたためか、感じ入るものがありました。
子どもと夫を残して旅立ったビリーのお母さんの気持ち。劇中ではビリーとお母さんの関係がクローズアップされていますが、血の気の多い兄のトニーのこともお母さんはさぞ心配だったことでしょう。お母さんが残した手紙には息子への愛情が綴られています。
「この手紙を読む頃には、わたしのことは遠い思い出になっているでしょうね。…きっといいことなのでしょう。あなたが成長するところ、泣くところ、笑うところ、もっと見たかった。叫び声や足音だって愛おしい。もっと叱りたかった。でも、お母さんはあなたのそばにいつもいたことを覚えていてください。ビリーのことをいつも誇りに思っていることを覚えていてください。あなたが息子だったこと、あなたのすべてを誇りに思います。そして、いつも自分らしくいる、自分に真実であると約束してください」
ビリーが手紙を読むこのシーンでは、何ひとつ見逃すまい、聞き逃すまいと劇場中に張り詰めた空気が。隣のおばさま、ハンカチをしきりに目頭に当てていました。

ビリーに才能があるかもしれないことに気づいてからのお父さんの葛藤にも心打たれました。ロイヤルバレエの入学試験のために息子をロンドンに送り出すためには、先立つものがいります。しかし、ストライキで一年近くも収入がない状態では旅費もありません。お金のためには、仲間を裏切り再び働く必要があります。お父さんは苦渋の決断の末、誰にも告げずストライキを破ろうとします。炭鉱で父の姿を見かけ驚いたのがトニー。すぐさま駆け寄り、涙で抗議します。
「今更なんだよ、父さん。ストは俺たちだけじゃない、炭鉱の仲間みんなのためのものだ。仲間を裏切るなんて!」今更ストライキを諦めることなんてできないという息子。「自分たちには未来がないがあの子には未来がある。お前のためにも同じことをするさ」という父。
組合の熱心な活動員である父子にとっては辛い決断、トニーは受け入れることができません。しかし、窮地に陥ったエリオット一家に手を差し伸べたのが、仲間たち。同じく苦しい生活から旅費としてなけなしの虎の子を差し出します。
一人はみんなのために、みんなは一人のために。仲間への連帯意識の強さが伝わります。

自分たちが苦しい状況に陥ってもストライキを続行しようとする鉱夫たちの決意。
ストライキ破りへの侮蔑。
ストライキ終了の怒りや絶望、そしてそれでも失われなかった誇り。
ビリーのロイヤルバレエスクールへの出発と鉱夫たちの仕事再開がちょうど重なるのですが、このシーンが印象的です。現場に戻っていく男性たちは舞台後部に並んで立ち、正面を向いています。それに対し、旅立つビリーは鉱夫たちに向き合って舞台前部で後ろ向き。ヘルメットの電灯が少年を照らし、ビリーの姿はシルエットになります。ストライキは終了したものの、自分たちの要求は呑まれませんでした。炭鉱側の敗北、サッチャー政権の勝利と後の歴史の教科書では書かれるのかもしれません。しかし、このシーンに使われるOnce We were Kingsは力強く、敗北とは程遠い歌です。鉱夫たちとその家族の大合唱は迫力でした。新しい世界へ旅立っていく少年、それを見守り生まれ故郷で働き続ける大人たちのコントラスト。照明の演出を見て感動したのは初めてです。
社会人として何年も働いた今だからこそ、共感できるようになったのかもしれません。わたし自身、仕事で悲しい思いをしたことはあっても、あそこまで苦しい状況に追い込まれたことはありません。それでも、胸に響きました。

自分自身が年齢を重ねたことが大きいのかもしれません。

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ヴィクトリアパレス劇場の外観はこんな感じです。

肝心の主役のビリーは…もちろんよかったです。3-4人の少年が交互に演じるのですが、わたしの見た回はTom Hollandくん。映画でビリーを演じたジェイミーは時々ふてぶてしいくらいで、少年らしい生意気さが印象的でした。トム演じるビリーは素直で可愛らしく、いたずらっぽい感じ。ビリーを町を挙げて応援した大人たちの気持ちがわかります。正直、歌はそんなに上手くないと思いましたし(もちろん下手ではないけれど)バレエのシーンも期待ほどでは…という感想でした。でも、トムは役者です。観客を舞台に引き込む力がありました。バレエ学校の入試に行くことを拒絶され、やり場のない怒りを踊りに託すAngry Danceではエネルギーがほとばしっていましたし、上記の手紙のシーンでは彼の一挙手一投足に視線が集まっていました。彼は元々ヒップホップやストリートダンス出身だそうで、バレエよりそういったシーンが得意なのが納得です。

子役の宿命ですが、少年たちは変声期を迎えるとビリー役を降板しないといけません。トムはもう13歳。たとえば、二年後に再びロンドンに来ることがあったとしてもそのときにはもうビリーを卒業していることでしょう。そう思うと、一期一会、今この舞台を見られて本当によかったです。

ところでビリーエリオットには日本公演の噂があります。作曲者のエルトン・ジョンのホームページによると2011年夏の公演だとか。
来日公演なのか日本人キャストによるものなのか。日本人キャストだとしたら、どこかの方言で話したりするんでしょうか。炭鉱で有名…というと筑豊とか夕張とか?あまり想像できません。シンプルにdadやmumをとーちゃん、かーちゃんと呼ぶくらいが無難な気がします。10-13歳からの少年というと、ジャニーズJr.とかが出演する予感。一般のバレエを習っている少年から選んでほしいなあ。

このミュージカルを見ただけでもロンドンに行った甲斐があったといえるビリーエリオット・ザ・ミュージカル。改めて、自分がどれだけ舞台が好きかを実感しました。幸せな三時間でした。

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CDも買っちゃいました。キャンペーン中でわずか5ポンド。劇場で買うより、ピカデリーサーカスのHMVの方が安かったです。

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by monisha | 2010-04-15 05:53 | 舞台