旅、ときどきネコ

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個人旅行、一人旅大好き。デジタル一眼レフによる旅先の思い出を中心に時々ネコの写真です。09年11月から半年間はドイツ滞在記をupしていました。

2012ロンドン旅行7: 男前の定義

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National Portrait Gallery, London

ロンドンには何度も来ていることもあり、今回の旅行では有名どころのミュージアムには行っていません。大英博物館のロゼッタストーンも、ナショナルギャラリーのフェルメールも、今回はパス。でも、ナショナルポートレートギャラリーには行きました。会いたい絵…というか人がいたからです。

トーマス・ロレンス卿によるチャールズ・ウィリアム・ヴェーン=スチュワート、後の第3代ロンドンンデリー侯爵像です。

英語の時代小説を読んでいると、しばし士官が"dashing"であると形容されています。では、dashingの定義とは。ググるとまず出てくるのは"Attractive in a romantic, adventurous way"。Websterでは"marked by vigorous action"と"marked by smartness especially in dress and manner"。その他、"audacious and gallant; spirited"、"Marked by showy elegance; splendid"などがありました。ロマンチックに魅力的、エネルギッシュ、大胆、勇ましい、スマート、派手。日本語でいうと、颯爽したプラス凛々しいプラス伊達男なのかなあと思っています。
とにかく、dashingという言葉を聞く都度、この肖像画がわたしの脳裏をよぎります。

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画像はNational Portrait Galleryのものです。

金モールの装飾が華やかな軍服に身を包み、やや遠くへ向けた眼差し。背景が暗いためか、カメラ目線でないにも関わらず、スーッと顔にまず目がいきます。端正な顔立ち…というには、顔の輪郭も鼻も丸く、どちらかというと童顔。ですが、キャンバスから溢れ出すのはバイタリティーと存在感。気負いなくカジュアルに軍刀を手にしたポーズからは、大胆で恐れを知らぬという評価に納得です。一度実物を見てみたい!このポートレートに一目ぼれしたときからずっとそう思っていました。

さて、この肖像画の現地での様子は。ジョージ四世、その愛人のミセスフィッツハーバート、その弟で次の国王のウィリアム四世。ネルソン提督、その愛人のエマ・ハミルトンといった同時代の著名人に囲まれてわかりやすい場所にいました。
では、チャールズさんの印象は?
思っていたよりも小さな絵でした。暗い背景から浮かび上がるかのような姿のため、大きな絵だと思い込んでいましたが、意外と普通サイズ。まあ、王様の全身像じゃあるまいし、これくらいのサイズの方が一貴族の単身ポートレートとしては当たり前なのかもしれません。そして、思っていたより若い様子。この肖像画が完成したのは1812年、1778年生まれのチャールズさんは33か34歳。実際にポートレートのモデルとしてポーズをとったのはもう少し前のことかもしれませんが、それにしても若いです。当時の34歳だったらもうちょっと落ち着いている印象を受けるかと思ったのですが、どう見ても中年ではなく青年です。
か、かわええなあ。

「おかーさん、会いたかったのはこの人!」興奮して母にそう伝えると至って冷たい反応。
「へー、よかったね。こんなんがいいの?」こ、こんなんとは失礼な。
「なんていうか宝塚的?ふふん、王子様やねー」その"ふふん"はどういう意味?それに宝塚をちょっと茶化してる?
「さっきも馬に乗った兵隊さんを撮りにいっていたし、よっぽど制服好きなんやねー」せ、制服好き……。その言われ方、すっごくイヤだ。女子高生のセーラー服に萌える人みたい…。いえいえ、英文学史に残る名作『高慢と偏見』でも村中の女性たちが士官に憧れていました。あの"red coat"には女心をかきたてる何かがあるのです、きっと。日本でも戦前は女学生たちが海軍士官学校の白い制服に憧れたというではありませんか。

母の反応が芳しくないことにガッカリしながら次の部屋に進むと、そこにもリージェンシーの著名人たちが。詩人や作家ばかりです。
「あ、バイロン」指さして母の方を振り向くと…あれ?
「バイロンってあのバイロン?」
「そうそう、詩人の」
「…えっらい素敵やねえ」じーっと絵を見ています。さっきと反応が違う!!

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「えーっ?どこがいいのぉ?」ここぞとばかりに言うわたし。
「唇がセクシーやないの!」まあ、たしかに形はぷっくら整っています。
「で?それ以外は?」
「漂う色気」そりゃあ、色っぽいような気もするけど…。鼻筋も通っているし、パーツを取り出すと整った顔ですが、なんだかトータルではわたしのツボにはまりません。
「なんか清潔感があんまりないし、暗~い感じがする。腹立ったら根に持ちそうなタイプというかなんていうか。それに、細くて筋肉なさそうなんがねえ」そう言って自分で気づきました。そうか、わたしのチェックポイントは清潔感と明るさと筋肉だったのか。先ほどのチャールズさん萌えに納得です。
「この良さがわからないだなんてねえ。ふう」その"ふう"ってなんやねん。ちゃーるずさんのよさがわからないお母さんには言われたないわ!いやあ、人の好みって本当にバラバラです。

...ところで、チャールズさんチャールズさんいうと現英皇太子のことみたいですね。チャールズさんが好みだというと誤解を生みそうなので、気を付けようっと。

バイロンは1813年、ロンドンデリー侯爵は1812年に発表。今からどちらもほぼ200年前です。さて、どちらの紳士の方がお好みでしょうか?



<後日談>

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ググっているうちに同じくトーマス・ロレンスによる別のチャールズ・ウィリアム・スチュアート像をみつけました。えーと…あの絵と随分違いません?全然dashingじゃない…。おでこ、後退してる??

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異母兄弟の第二代ロンドンデリー侯爵(ウィーン会議の英外交官として有名なカッスルリー子爵)の肖像画がこれだということを思うと、二枚目の方が現実に近くて、一枚目はかなり美化しているのかも。もう少し夢を見ていたかったです…。

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by monisha | 2012-06-23 22:30 | London