旅、ときどきネコ

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個人旅行、一人旅大好き。デジタル一眼レフによる旅先の思い出を中心に時々ネコの写真です。09年11月から半年間はドイツ滞在記をupしていました。

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写真とは本文とは関係のない、シンガポール航空の機内食。わたしは機内食にしたらすごい!と感激でしたが、周りの方にはこのサテ以外は不評でした。でも、後述の鍋屋と比べれば...。

旅先での楽しみに、ごはんは欠かせない要素です。多少はずれはあるかもしれませんが、やはり現地の料理は食べたいものです。

しかし、シンガポール初日。会社の方々と行ったお店は大外れでした。お目当ての店は満席とのことなので、適当に街中を歩いていると地元の方で賑わっているお店が。
「...これだけ混んでるってことは美味しいんじゃないですか?」「ね、ね、行きましょうよ!」「わー楽しみ♪」
とっても期待して入りました。ふむふむ、どうやら鍋料理のお店みたいです。スープを選び、具剤にチェックマークを入れて注文するシステムになっています。
「このlobster ballってよさそうちゃいます?」「このcrab cakeってなんですかねえ?カニだなんて嬉しいわあ」「結構安いような気がしますけど、海が近いせいですかねえ。新鮮なシーフード!」「なんでもええよ、任せるわ」
うきゃうきゃと盛り上がりながらたっぷり注文。さあ、スープと具が届きました。沸騰したスープに投入。しばし待ちます。そろそろできた頃?いっただきまーす。
「うわー、美味し......い?」「ん?.......この味は...」「...エビでもカニでもない!!」

Lobster ballもcrab cakeも練り物。本物の魚介類の身なんてこれっぽっちも感じられません。要するに、あれです。カニカマ。姿かたちは少しずつ違うものの、カニカマのバリエーションです。

「でも、なんでこんなに日本のカニカマとちゃうんやろうか」「日本のカニカマってもっと美味しかったような...」「カニカマなのにもちもちしてて、なかなか噛みきれへんだなんてどう考えてもおかしいわ」「誰や、こんなにたっぷり頼んだんは。テーブルの上に、残したら罰金とりますって書いてあるで」
タイガービールでアルコールが程良くまわっているからまだいいものの、素面だとなかなか食べづらい味です。あうー、野菜と豚肉だけだったらよかったのに。
「うちのかみさんな、子どもが生まれてから添加物とか着色料とかめっちゃ気にしてんねん」とあるおじさんがぽつり。「日本ではカニカマなんて絶対に食べへんのに、なんでシンガポールまで来て食べとんやろか」
......まあ、珍しい体験できてよかったじゃないですか。これも旅の楽しい思い出ですよ!これから、このメンバーでまだ飲むことがあれば、絶対にカニカマ話で盛り上がれますって。

後日。本当にシンガポールメンバーで飲む機会に恵まれました。カニカマの一言で笑い転げられるだなんて、珍しい経験をした甲斐ありました。多分。

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これがシンガポール航空の和食の機内食。そりゃ、日本料理屋でこれが出たらがっかりですが、飛行機でと思えばわたしには許せました。

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by monisha | 2011-07-13 13:12 | Singapore

モデルと焼肉と

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ウォーキング教室にもう二、三年は通っているという友人に連れられ、先日教室の発表会兼ファッションショーに行ってきました。いかにも発表会っぽい、シンプルなものを想像していたところ、現地でびっくり。かなり本格的です。色とりどりのスポットライトにおしゃれなスクリーン映像。大音量のアップテンポな音楽。教室は趣味で通うOLさんだけでなく、プロを目指す方も通うと聞き、納得です。

ショーは一般の生徒さんから始まり、プロを目指す方、最後は講師のプロのモデルの先生でしめくくられます。モデルさんたちの圧倒的な存在感や優雅なウォーキング、女子力あふれだすキメキメのポージングはもちろん見事ですが、素人さんの堂々とした姿にも関心しました。自信を持つ、その気になる、堂々とする、胸を張る。技術的に見たら、いまいちの方もいたのかもしれませんが、そんなこと気になりません。気の持ちようって大事ですね。

撮影OKだとは知らなかったので、今日の装備はE-620とパンケーキのみ。いつもショーの時期は仕事が繁忙期だから誘いを受けつつも出られた試しはないと、教室に通っているRちゃんは言っていましたが、もし彼女が出演するなら望遠を持って見に行くんだけど。最初は「今日は望遠がないから目で見るだけ!」と思ってましたが、前の方の席に座っていたため、後半はむらむらしてやっぱりカメラを取り出してしまいました。生のモデルさんは、よくある表現ですが、折れそうなほど、ウェストに手がまわりそうなほど、華奢でした。
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めっちゃ女子女子したイベントだったのに、この日の〆は焼肉。…なんと対極にある。提案したのはわたしです。お洒落なフレンチというのもちらっと考えましたが、前日も食べたばかりのため、二日連続フレンチはちょっと避けたい気分。一緒にショーに行ったRちゃんとQちゃんの二人は、ショーの前にイタリアンでランチをしたとのこと。南京町で中華、というのも考えました。でも、最終的に落ち着いたのは焼肉です。

生まれたときから神戸っ子の友人Aちゃんに教えてもらったお店ですが、これが大正解。カルビやハラミはとろけるし、レバーやユッケなど生ものは新鮮そのもの。店内はきれいだし、店員さんは気持ちがよくハキハキしています。女性三人で食べる量か?というくらい注文しまくった気がしますが、お会計はなんと一人三千円弱。「正直、あれだけ頼んだから四千円は超えるな、と思ってたわ」「わたしもー!」「しかもご飯ものっていうより、がっつり肉ばっかりやったのになあ」三人の感想です。是非、リピーターになりたいと思えるお店でした。ショーのあった六甲アイランドから元町までわざわざ移動した価値は大ありだったね、と意見が一致。…ファッションショー×焼肉という組合せもわたしたちらしいのかもしれません。

空腹に負けて一枚も写真を撮っていませんが、お店の名前は「肉の入江」。JR元町駅から徒歩五分。人気店のようで混んでいたし入れなかったお客さんもいたので、予約をお勧めします。

〒650-0011
神戸市中央区下山手通3-15-19
078-391-2915
17:00~24:00(LO23:00)
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by monisha | 2011-04-02 23:46 | 美味しいもの
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そういえばブログでは失踪のことだけを書いて、感動の帰還については触れていませんでしたが、クロは無事猫島家に戻ってきております。家では八月下旬のこと。そしてあれは、母とアメリカ旅行していた十一月初旬のことでした。

「ちょっと!お父さんからメールが届いてるよ!クーちゃんらしきネコが家の庭に現れたって!」海外対応に機種変したばかりの形態を握りしめ、母がそう叫びました。
「……え?ウソー!!…ほんま?」思わずわたしも喜びの叫びをあげましたが、すぐに疑問文に変わりました。うちの父はかなりの天然。目の前にあるものに気づかないし、見間違え、聞き違いも多し。その父の証言だけでは、失礼ながらいまいちあてになりません。

「本当にそれクーちょん?公園のネコがうちに紛れ込んだんじゃ…?」実家の近くには野良たちが住みついている公園があるせいか、時々うちの庭でよそのネコを見かけます。すぐに猫島領パトロール隊長であるタビに撃退されますが。これまで黒ネコのマグロ(くろ≒まっくろ≒まくろ≒まぐろ)、トラネコのチャトラン(茶色のトラ≒ちゃとら≒ちゃとらん)などが目撃されています。今回父が見かけたという黒っぽいネコもよその子ではと思うのです。
「本当にクロだったら喜ばしいことこの上ないけど、どうなんやろねえ。とりあえず、様子を見ようか。本物だったらそのうち定住するだろうし、そっくりさんなら追い出されるやろし」ということになりました。

その翌日。いや、翌々日だったかもしれません。父からの第二報が。
再びクーちゃんが現れ、ベランダ近くまで来たものの、私の姿を見るとキューキューと逃げていきました。
今度は写真が添付されています。
「こ、これは…」根本はまっすぐなのに、先っぽでコの字型に曲がったしっぽ。太い鼻柱。目つきの悪い三白眼。こんなにデカくて不細工なネコがそうそういるとは思えません。
「クーちゃんでほぼ確定ちゃう?」
「でもだったらどうしてお父さんを見て逃げたの?……やっぱり100%確信が持てるまで期待しない方がええのとちゃう?ぬか喜びしたないやん」つい予防線を張ってしまうわたしです。

その後も続報があり、駐車場に置いてあげたフードがなくなった、ベランダから室内の様子をうかがっている、とどんどん進展していきます。そしてある日。遂にクーちゃんは家の中に入って来ました。タビとムサシはクロとわからなかったのか、当日はシャーシャー威嚇したそうです。口にすることは決してありませんでしたが、実のところ猫島家ではだれもがクロはもうこの世にいないのではと疑っていました。そのうち帰ってくるよ、といろいろな人に励まされたものの、まさか本当に帰って来るとは。
「家出中、どこで何してたん?大食らいなのに、ご飯はどうしてたん?」「毛並みも悪なってないなあ。どないしてたん?」
いくら尋ねても本人はゴロゴロと幸せそうにのどを鳴らすだけ。失踪期間にちなみ、うちでは”八十日間世界一周ネコ”と呼ばれているクロです。

「しかしまあ、本当によかったねえ」
「迷子になってただけなんかなあ。家にちゃんと戻れるなんて賢いんだか、八十日行方不明になるのがそもそもアホなんだか、ようわからんネコやね」
アメリカ旅行最終日、ライオンキング終焉後にディナーを楽しみながら母と話し合いました。本当に喜ばしいニュース。ここしばらくで一番嬉しくなる出来事でした。

「もし、2010年猫島家十大ニュース、いや五大ニュースなんてあったら、間違いなくトップ1と2はクロの失踪と帰還が占めるねえ」とわたし。よく年末になると、テレビや新聞で今年を振り返るニュース特集なんてやってますよね?
「ほんまやねえ」と母も同意。「……ちょっと待った!」
え?何事?
「五大ニュースのトップ二つがクーちゃんだなんて、大事なこと忘れとうやん!」
クロを凌駕する?そんな大事なことって何かあったっけ??
「お兄ちゃんの結婚!」
……ああっ!たしかに、人間の方を普通優先するべきやろ、わたし!

「いやあ、そんなん頭からすっかり消えてたわ~」おめでたいニュースよりも悲しいニュースの方が気がかりだから、インパクトがあるというか頭に残るみたいです。「そういえば、わたしがドイツに住んでたのも今年やし、転職が決まったのも今年やったねえ」
いろいろなことがあったはずの2010年なのに、頭はクロ一色でした。

今年一月にはわたしが新しい会社に入社しました。三月には、クーちゃんに存在感で負けていた兄が挙式します。
2011年はどんな年になるのか。幸せな事件の多い佳き一年でありますように。

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クロの首から肉球型のものがぶら下がっているのがわかりますか?父が失踪直前にどこかの神社で買ってきたネコ用のお守りです。このおかげで戻って来られたに違いない、と猫島家では評判です。…本当かも。猫神さま(?)、ありがとう。
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by monisha | 2011-01-12 23:55 | ネコ

ひげの長いお友達

わたしには仲良くしているネコが近所に三匹ほどいます。向こうからすると"仲良くしてやっている"あるいは"気が向いたときに遊んでやっている"だけなのかもしれませんが。三匹とも、駅から自宅マンションに帰る途中で通る細目の路地にいますが、遭遇率が一番高いのはこのネコです。

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ニャーちゃんとかハナブチちゃんとか、何のひねりもない名前で呼んでいます。たぶんオスだと思うのですが、自信がありません。もしオスだったとしても、タロウやジロウといった和風の名前はともかく、エドワード、ゲオルグ、ステファノなど西洋風の名前は似合わないように思います。このハナブチちゃん、通りかかると最初は若干距離をおいていますが声をかけるとすぐにすり寄ってきます。「愛い奴よのう、ぬしは」何故か時代劇調で話しかけています。

よい関係を保っているとは思っているものの、気になることがひとつ。ハナブチちゃん、とっても声が悪いのです。普通のネコのように"にゃーん♪"とか"みゃ?"ではなく、呼びかけると「んんががぐわぁ!」とものすごい声で答えてくれます。し、絞め殺されそうなの?というような声。端から見る(聞く?)と、わたしが虐待でもしているように間違えられるのではなかろうかと、毎回ドキっと周りをキョロキョロ見回してしまいます。近所迷惑になったらいけないし、ご飯をあげている方がいるそうなので控えていますが、ご飯をねだられるときも「んんぐぐぐいーん!」とやっぱりすごい声。姿はどう見てもネコですが、声だけ聞いていると自信がなくなりそうです。

自宅のネコには人間にするように普通に話しかけるわたし。外ネコにもついつい同じようにしてしまいます。キョロキョロと挙動不審にあたりを見回しているし、小声とはいえネコに話しかけているし、どう考えても怪しい人にしか見えないのではと思いつつ、帰宅前にはやっぱり毛深くてひげの長い友達を探してしまうわたしでした。
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by monisha | 2010-11-27 23:04 | ネコ

おかっぱ or ボブカット?

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Toy Photo AKA Pin Hole Filter
散歩中に撮ったサロンの写真。周辺減光はアートフィルター効果です。

鎖骨の下数センチまで伸びていた髪をバッサリ切りました。
「これからどんどん寒くなっていくのにどうして?」よく聞かれますが、わたしとしては寒くなってくるからこそ!でした。暑い時期だったら家を出た時点で髪が生乾きでも、駅に向かって走ったり電車内の冷房にあたっているうち、会社に着く頃にはすっかり乾いていました。冬に同じことをやったら、寒くて頭から風邪をひきそうです。ヨーロッパが異常に寒かった昨冬、髪の毛が湿ったまま自転車で通勤したら、会社の駐輪場でふと頭に手をやると髪の毛がすっかりバキバキに凍り付いてたっけ。
短くなったら洗うのも乾かすのも楽になったし、枝毛はなくなったし、若干若返ったような気もするし、いいこと尽くしです。

で、ヘアサロンに行ったときのことです。
「なるほど、短くですか。肩くらい?」
「いやあ、もっとバッサリでもいいです。あごくらい?」
「ボブですね。今までのトレンドとしてはボブはAラインだったんですが、最近新鮮味が薄れてきて別の方向にシフト中なんです。あ、Aラインのボブってわかります?いわゆるワンレングスで段が入ってないカットです」
ふむふむ。段が入っていない=下をぱっつんと切りそろえているってこと?これぞアジアン!みたいな感じかなあ。山口小夜子さんとか大内順子さんとか。あれれ、なんだか二人とも昔の世代の方だ。
「それに対してCラインはもっと丸みがあって段が入っています。ぼくとしては猫島さんの骨格とか顔立ちや服の雰囲気から、こちらの方がお勧めなんですが」
たしかにAラインのボブってモードなイメージがあるかも。シャープというか、キリっとしているというか。飽き性なため何回かヘアサロンを変えていますが、こちらのおにーさんははっきりとこちらがお勧め、その理由はと説明してくれるので好きです。
「じゃあ、Cラインで。お任せします」
「了解です」にっこりOKサイン。

…しかしまあ、ボブカットっていっても色々種類があるものだ。うちのお母さんは未だにおかっぱって呼ぶけどなあ。おかっぱ。…おかっぱ?日本で一番有名なおかっぱといえば、ちびまるこちゃん?気づいたら口にしていました。
「あのー、ちびまるこちゃんいるじゃないですか?あれっていわゆるおかっぱですよね。あの髪型にも小洒落たネーミングってあるんでしょうか?」
「ちびまるこちゃん? あれは………。おかっぱです」一瞬沈黙が流れました。
「す、すみません。えーっと、あ、あれにも”なんとかボブなんちゃら”みたいな名前がついているのかなって。あれもボブの一種に見えたっていうかえいうか…」すっかりしどろもどろです。しまった、青山のお洒落なヘアサロンで聞く質問じゃなかった。
「ああ、あれこそAラインのボブですよ。ちびまるこちゃん、見てました?六時からまるこちゃん、その後続いてサザエさんでしたね」おお、ナイスフォロー。しかも上手いこと話題を変えている。
「典型的な日曜の夜ですねえ。懐かしいなあ」ん?サザエさん。ワカメちゃんといえば刈上げだけど、あれもボブでは!…そう思いましたが、今回はさすがに口にしませんでした。

という話を兄夫婦とご飯に行ったときにしました。すると兄は「自分もまるこちゃんを思いついた」とのこと。ああ、兄妹って似てしまうものなんでしょうか。イヤだなあ。
「で、結局おかっぱとボブの違いは?」と兄。
「え?さあねえ」”西洋風にして、カットにより高度な技術を要するのがボブ”という解釈で正しいのでしょうか。

普段何気なく使っている言葉でも、専門的になればなるほど細分化して定義が分かれていくものなんですね。そういえば、日本語ほど雨の名前がたくさんある言語はあまりない、それだけ呼び分けていたということは、日本人にとって雨がどれだけ身近な存在だったかがわかる…と何かで読んだことがあります。
気になって結局、帰宅早々にボブカットの定義をググってしまったわたしでした。
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by monisha | 2010-10-27 23:48 | Odds & ends
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終演後の東京文化会館ロビー。もうすっかり外は暗くなっていて、照明がプラネタリウムのように見えました。

昨日の感想の続きです。

ひとつは、マシュー・ボーン版とどうしても比較してしまうため。

ボーン版スワンレイクは白鳥たちを男性が演じることで知られています。男性による白鳥の湖!王子はゲイ!とメディアでもよく面白半分に取り上げられていたので、漠然と聞いたことがある方も多いかもしれません。なんだか心ひかれるものがあって、五年前に渋谷のBunkamuraでロングラン公演をしているときに見にいったのですが、衝撃的でした。
それまで古典的な白鳥しか見たことがなかったのですが、いつもと同じチャイコフスキーの音楽が流れているのに解釈次第でこんなに違って聞こえるものかとびっくり。音楽が先にあったのに、まるでボーンの解釈に合わせて音楽があるみたいにぴったりです。音楽の盛り上がりと振付、ストーリーの進展、全てがきっちり重なっているように見えました。首藤康之さんが王子、Jason Piperがオデット/オディールであるスワン/ストレンジャーを演じた回に行きましたが、素晴らしい舞台でした。

ジェイソン。これまでにわたしが見た歴代のバレエの舞台の中で、一番印象に残っているダンサーです。よく上手い人には群舞の中にいても自然と目がいくといいますが、ジェイソンのときほどそれを感じたことはありません。全体を見よう、見ようと意識しても、気づくと目が吸い寄せられていました。彼を一言で言い表すと、セクシー。ありふれた表現なのはわかっていますが、どうしても使いたくなる言葉です。野性的、荒々しい、色気あふれる、男らしい、seducing、tempting、captivating、sensual、predatory…日本語英語、どちらで思いつく形容詞も結局は”セクシー”に帰着します。
公演の後半に見に行ったため、結局ジェイソンの舞台は二度しか見られませんでした。それなのに、五年経った今でもこれだけ熱く語れるなんて、まったくどれだけ惚れこんだのか。本当に素敵なダンサーだったんです。ジュテやピルエットのような派手な動きだけじゃなく、立ち姿、目線の行方…何をとっても存在感がありました。2004年の時点でもうダンサー生命は長くないだろうとインタビューで語っていたので仕方ないといえば仕方ないのですが、今では現役は引退状態で大学の先生に専念しているのがファンとしては残念でなりません。渋谷での舞台が映像化されていないのが悲しいのですが、生の舞台だからこそあのエネルギーが伝わってきたのかもしれません。

話が大幅に逸れました。ということで、ボーン版スワンレイクがあまりにもインパクトが大きかったので、ついつい比較してしまいました。マーフィー版はストーリーに合わせて曲の順番を大きく入れ替えていたり、かと思うと、発想は新しいけれども振付自体はわりと伝統的だったり。そんなに曲をいじる必要があったのかなあ、とかなんだか印象が薄いなあと感じてしまいました。精神病院がモチーフと出てくるのもボーンと一緒だなあと思うと、新鮮味に欠けました。ボーンを全く見たことがなかったら、あるいはオーストラリアバレエを見てからボーンを見たり、ひょっとするとジェイソンが出ていないボーンを見ていたら、また違った感想だったのかもしれません。


ふたつめは、王子役の方がどうも好みでなかったから。

なんというか、身も蓋もない感想ですみません…。いや、いまいち上手くないダンサーだったわけじゃありません。リフトはすっごく安定感があり、見ていてハラハラするところが全くなく、バレリーナたちが軽やかにetherealに見えました。
では、何が物足りなかったか。ズバリ、もっさり感。ダンサーにしてはリアルな体型といいますか、かなりガタイのいい方でした。背が高いことはいいんです。でも、わたしは王子役には鋼のように引締まった、しなかやか細身の方になってほしい。ロバートさんは腰回りがご立派だったし、おなかもあんまり割れていませんでした。衣装のパンツがゆったりめだったためそう見えただけで、実際は違うのかもしれませんが。

......。やだぁ、猫島さんったらいちいち腹筋が割れているかチェックしてるの? 口の悪い友人からはそう聞かれそうです。
そんなんもちろん、毎回双眼鏡で念入りにチェック!…しているわけではありません。結構前の方の席だったのと、上半身裸にサスペンダー+パンツという組合せで最初に登場したため、ついつい目がいっただけなんです。

あれ?
言い訳すると、余計あやしいですかね?

その点、バイエルンバレエでオネーギン役を踊ったマーロンさんはよかった。
リフトは軽々だったし、背が高くすらっとした細身。顔はイケメン。これぞ王子!という気品でした。オネーギンって、一度は振った相手が後できれいになった途端に追いかける…というけっこうひどい役。でも、マーロンを見ていると、あー、もうこのイケメンだったら何しても許せるわあ。少女タチタナが恋焦がれるのも無理ないわあと思えました。
ロバートはもっさり感と真面目そうな雰囲気が災いして、なにぃこいつ!一見誠実そうなのに結婚前夜まで二股!ばれてからはオデットと男爵夫人の間で右往左往して、ああ情けない…と思ってしまいました。
別に見ためが真面目だから浮気しないわけではないし、西洋人は男女とも三十代以降に立派な体型になっていく方が多いのは事実。その意味では、この日の舞台はリアルだったといえるのかもしれません。

でも。わたしにとって舞台は夢の世界。夢の世界の王子には、見目麗しくあってほしいんです。
ロバート、もっとワイルドな役、あるいは貴公子に大好きな幼馴染を奪われる純朴な農夫…とかだったらよいのかもしれません。


オーストラリアバレエを見た感想を書くつもりが、気づいたら公演の感想はごく一部になってしまいました…。今のわたしの気持とは重ならなかっただけで、決して悪い舞台ではなかったのですが。
思い立ったときにすっと舞台を見に行ける、東京という場所はすごいなあ。普段はああ神戸に住みたい、もう満員通勤電車は勘弁とばかり思っていますが、こういうときは東京に住む喜びを感じます。今年はあと何回舞台を見られるんだろう?また舞台熱に火がつきそうです。
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by monisha | 2010-10-19 23:11 | 舞台

危険な任務

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わたしの勤めている会社では金曜夕方4時or5時、つまりヨーロッパ中央時間の朝9時になると社長からニュースレターが届きます。金曜の9時ちょうどというのに相当こだわっているらしく、クリスマスの頃など欧米オフィスがほとんど無人になる頃にはわたしたち東京オフィスにニュースレターを代理で送信するよう依頼が届きます。昨年引き受けた方は、時間ピッタリに送らないと!と10分くらい前からどきどき時計を眺めていたそうです。

大抵は正直言ってたいして面白い内容ではありません。今週どこどこオフィスに新入社員が来ました、Welcome xx! 今月の売上はxx、昨対xx%、先月比xx%で目標と比べてxx%...などです。読んでいるとまぶたが重たくなるような内容です。ざっと目を通した後、受信トレイからすぐに消しています。
たまに読んで楽しいのはオフィスイベントの話。先週、ニューヨークオフィスの有志x名がチャリティーマラソンに参加しました、フランクフルトオフィスとデュッセルドルフオフィスはドイツ西部の同業者サッカー杯に参加し見事準優勝、ロサンジェルスオフィスはナパバレーにワイン試飲に行きました等々です。写真を見て知人を探したり、国による特色をみつけるのが楽しいです。アメリカ西海岸のオフィスの人々は、ゆるーい服装。女性はタンクトップにショートパンツ、男性はTシャツにハーフパンツなどで写っています。反対に、ドイツオフィスの人々は男性の場合襟付きのシャツだったり、女性もショートパンツまではいきません。どこのオフィスか書いてなくとも、写真の背景と服装で大陸はなんとなくわかります。

そんなニュースレターですが、先週のものは出色の出来栄えでした。
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主役はシカゴオフィスに勤めるRicky。事件は出張先のペルーからニューヨークに行く最中に起こりました。空港のセキュリティーチェックでランダムに選ばれ、通常より特別なX線にかけられることになったそうです。はいはい協力しますよと気軽にX線にかかったところさあ大変。機械のミスで「ドラッグ密売人の可能性あり」と判定されてしまったのです。その後の二日間はRickyの人生で最悪の時間だったとか。尋問に薬物検査、病院での身柄拘束など取り調べフルコース。驚き病院まで駆けつけてくれたクライアントの協力もありようやく無実が判明した48時間後まで、一睡も出来なかったそうです。ああ、哀れリッキー。
しかし、彼が本当にすごいのはここから。ようやく解放されニューヨークオフィスに立ち寄ったのも束の間、二日後には次の出張先へと旅立ったそうです。で、今度の行先は?......コロンビア。ああ、リッキーに幸あれ。

「ねえ、今週のニュースレター読みました?」同僚のCarolineに話しかけました。
「まだです」あら珍しい。たいしたニュースじゃないことも多いとブツブツ言いながらいっつも楽しみにしてるのに。
「今日の、すっごく面白かったらすぐに読んでみてください~」

数分経過。

「Oh, that poor guy!」ゲタゲタ笑ってます。
「わたしは会ったことないけど、知っている方ですか?どんな人?」密売人に間違えられただなんて、どんな人か興味津々です。
「恒例のクリスマスパーティーで会ったことがあるので、知ってますよ。ちょっと派手というか、かなりファッショナブルです。クライアントにラテンアメリカの企業が多いから出張も多いって言ってました」

なるほど!
欧米で少ないブランド物を持ち歩く男性、お洒落な服装→生活に余裕あり
リッキーという名前→ラテン系
派手な雰囲気→…ひょっとして硬い職業でない?
米国と南米の頻繁な往来→仕事でどちらの国にも用事がある

状況証拠は出揃っています。

つまり、リッキーはランダムに選ばれたのではなく、あらかじめ当局から怪しまれていたのかもしれません。そこでセキュリティーがひっかかったものだから、向こうとしては予想通りの展開。やっぱりお前は密売人だったのか!尻尾をつかんでやる!と意気込んだことでしょう。
うむむ、納得。

「しかしリッキー、勇気あるというかえらいですねえ。いくら出張とはいえ、わたしがそんな目にあったらしばらくは空港に行きたくないなあ。しかもコロンビアだなんてまた麻薬組織で有名なところへ…」
「えー、でもネコシマさん、今回捕まったから出張はしばらく控えて…だなんて余計怪しいじゃないですか」
た、たしかに。ちっ、危ないところだった。今回の騒動で目をつけられちまったからしばらくは大人しくしておくか、だなんて容疑者度アップです。しかしまあタフな奴やなあ。

そういえば、少し前のニュースレターではイランの企業からの依頼を受けて出張した際、身の安全のためにクライアントが滞在中ずっとボディーガードをつけてくれたと、本人+ボディーガードx2の三人の記念写真を見たこともあります。わたしはせいぜい国内出張でのほほんとしているけど、働いているオフィスによってはすごい環境にあるんだなあ。

では、わたしは少し危なさそうな国への出張があればどうするか。
……断れそうな状況だったら、多分断るように思います。未知のことでも興味があればチャレンジしてみたいという方ですが、さすがに危険な環境に自分から飛び込んで行きたくはありません。コロンビアは元々の固有文化と植民地支配による南欧の影響が混ざり合って、独特の美しさがあるとは聞きますが。

昨今治安が悪化しているといわれるとはいえ、日本の小市民である我が身の平穏無事さに安堵した金曜午後でした。

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by monisha | 2010-08-21 23:54 | Odds & ends

老舗ホテルでの夕べ

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帰省したとき、ちょうど父が誕生日を迎えました。ですので、両親とわたしの三人でホテルにディナーを食べに行きました。
予約の電話をしたのは父ですし、支払いも父。一番高いコースを食べたのはわたしだし、シャンパンを飲んだのは下戸の父を除いた女性二人。…冷静に考えると、全然父のお祝いになっていません。よかったのでしょうか。自分で言うのも厚かましい話ですが、いつもは神戸にいない娘がその場にいたということで、十分お祝いになったことでしょう。………多分。

フレンチばっかりブログにアップしているためか「うっわ~。めっちゃセレブな生活しとんなあ」と複数の友人に言われたことがあります。いえいえ、そんなことありません。たまに美味しいものを食べたときのことだけしか書いていないので、そういう印象があるのかなあと思っています。ネギ焼きがどうしても食べたくなって作ったけれども、山芋を入れすぎたせいか生地の粘り気がやたら強くてお玉からフライパンになかなか落ちてこなかった、レモンを使い切りたくて明太子スパゲッティに無理やり全部入れたらいくらなんでも酸っぱすぎた、などなど、日常の間抜けなご飯エピソードはたくさんありますが、そういったときは写真を撮っていないし、わざわざ記事を書くほどのものとも思えませんので。
脱線しました。

親子が向かったのは、旧居留地にあるオリエンタルホテル。1995年のあの震災で全壊し、跡地は長らく駐車場になっていましたが、この春に復活オープンしたばかりです。震災の頃はまだ子どもだったせいか、わたしにはちょっと古びたホテルという印象がありましたが、昔は神戸一格式の高い名門ホテルだったそうです。

三宮から海に向かって南に進むと、十分もせずにホテルにたどり着きます。低層階にはバーニーズニューヨークやヴィトンが入っていて、建物に近づいただけで高級感を感じます。ホテルの中に入ると、ダークブラウンが基調となっていたり昔の神戸を被写体としたセピア色の写真が飾られていて、華やかというよりはシック。とても落ち着いています。とってもいい雰囲気です。

「結婚式を挙げたのは三十年以上前のことやねえ」と母。そう、両親はこのホテルで挙式したのでした。「会場に面影はあるのかしら」
「全壊して立て直したから、そんなんあるわけない」と父。たしかにそうでしょうが、なんだかロマンのないセリフです。
「なんでこのホテルにしたん?」娘です。
「忘れた」「当時はここが神戸一のホテルだったから富士子さん(=父の母)が決めたんちがう?」
「……思い入れがなかったんやろうねえ」二人とも覚えてないとは。三十年経つと思い出なんてそんなものなんでしょうか。
「当日のことなんて全然覚えてないわあ。そういえばどうやってこのホテルまで来たんかねえ」
「知らん。タクシー?」
「あなたは?」
「覚えてへん」
思い出話に関しては頼りない二人です。

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レストランは17階にあるメインダイニングに行きました。予約の際、窓側と指定されることを絶対お勧めします。窓からは山側の夜景がきらきら。窓際でなくとも十分見えますが、やはり窓に近い方が夜景を独占しているような気分に浸れるかと思います。
海側の夜景はレストランの外、ロビーのようなところから見えます。山側もよいのですが、海側はハーバーランド、メリケンパーク界隈が見えたり、船が見えたり、より神戸らしい雰囲気のように思います。

ディナーコースは三種類。両親は竹コースと言うべきか、真ん中の価格のスタンダードコースです。わたしは松コースのオリエンタルコース。サービスチャージ抜きで10000円とは結構なお値段やなあとは思いましたが、三人同じもつまらないし、フォアグラが食べたかったので…。

混んでいたせいか、料理と料理の間隔がやたら長かったという印象はありますが、全体的に美味しかったです。

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by monisha | 2010-08-12 00:01 | 美味しいもの

土曜の昼下がり

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自由が丘で出会った天然石ショップの看板ネコ。

一年ぶりくらいに会う友人と一緒にランチに行ってきました。場所は、都立大学徒歩三分にあるフレンチレストラン「スーヴニール」です。
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ん?白い壁に落書き??
もうちょっと近付いてみましょう。…あれ?知っている名前では??
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日本で有名なフランス人トップ10には入るのではないかと思われる、あの人物。2002年の日韓ワールドカップ時に監督を務めたトルシエ氏です。
2002年当時、わたしはフラット3の中央にいた森岡隆三さんの大ファンでした。当時は清水エスパルスのDF、現在は京都パープルサンガコーチの方です。ガンバとの試合のため、清水から新大阪駅に新幹線で遠征してきたところを友人と一緒に見に行ったほど。目は完全にハートマーク。そのとき一緒に撮ってもらった写真は、今もどこかに大事に保管されています。それはもう大好きでした。森岡選手はW杯ではグループリーグ初戦で負傷して、代わってツネさまこと宮本選手がフラット3中央に入ることに。バットマンマスクですっかり大人気となりましたが、「本来だったら森岡さんが浴びるはずだった注目なのに…。ムキー!」ととても悲しかったことを覚えています。あれからもう八年も経つんですねえ。

このお店はSさんのお勧め。Sさんとはオリンパスの写真講座で知り合いました。わたしが講座に初参加したのは2008年の春のこと。白金の素敵なカフェで行われたテーブルフォト教室でした。偶然同じテーブルにつき、おしゃべりしたのがきっかけです。次にお会いしたのはそれから二、三か月したときか、吉祥寺で行われた教室でのことでした。「あれー?あのときの!!」再会に喜び、意気投合。その後も何度か講座をご一緒するうちに、気づいたら友達になっていました。
年齢も違うし、どんな写真を撮る方か、どのカメラをお持ちの方かくらいしか最初は知りませんでした。新宿で行われる講評会から一緒に帰るうちに自宅最寄駅を聞いたくらいで、どんな会社にお勤めかは今日まで知りませんでした。でも無理なくすーっと友達になることが出来るとは、趣味が同じだっていうのは大きな共通点です。こういった出会いをくれた、フォトルージュに感謝です。

ランチコースはいくつかありますが、後にケーキも食べに行きたいので2700円の前菜×2、主菜×1のコースをオーダー。どれも美味しかったです!

とっても新鮮なブリ。わさび醤油はもちろん好きですが、こういった洋風刺身も好きです。中華サラダのピーナッツや胡麻ダレがかかったものも。…要するに刺身だったら何でもよいのかもしれません。
写真を撮り忘れましたが、ジャガイモと人参のポタージュもやさしい味でした。
メインはパリパリの鶏モモ肉のコンフィ。フィンガーボウルを出してくれましたが、身離れがよいのでナイフとフォークだけですーっと食べられました。
デザートは、バナナとイチゴのソルベにココナッツミルクのブラマンジェ。イチゴがさっぱりしていて、バナナがねっとり濃厚で交互に食べると美味しかったです。
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食後にはすぐ近くにあるドゥ・パティスリー・カフェへ。食べたいケーキだらけでしたし、マンゴーパフェもとっても気になりましたが、コースの後にはケーキひとつが限界でした。
さんざん迷った挙句に選んだのはミルフィーユ。パイ生地は驚くほどさくさく。クリームはあっさりしているけれども香り豊か。シンプルなケーキだけに、素材の美味しさがしみわたります。
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久々に女性が会うと、話題は尽きません。写真のことから会社であったおもしろい話、中高生のときに好きだった芸能人、Sさんがはまりつつあるというツイッターについてなどなど。女三人寄れば姦しいとよく言いますが、二人でも十分にそうだと思います。

自由が丘まで歩いていって雑貨屋さんをのぞいたり。楽しいひとときでした。
趣味から始まったけれども、趣味を超えたところでも仲良くいられる、年上のお友達。こういうのっていいなあとしみじみ思った土曜の昼下がりでした。

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よーく見ると、手に石が。…ピアスでしょうか?
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by monisha | 2010-08-02 20:13 | 美味しいもの

Ich liebe Sushi

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同僚とのランチも楽しかったのですが、ドイツの外食は味が濃いめ。塩気がかなり強いので、しばらく食べているとちょっと遠慮したくなりました。会社の近くにレストランが何軒かあればまだよいのですが、あいにく人口30万の都市の中央からやや外れたところにある我が社。”タイ料理”とは名乗っているものの、どう考えてもタイなんて味はしない怪しげなアジアンレストラン。イタリアだったり、ドイツだったり、ヨーロッパ料理があれこれ出てくるレストラン。スーパーのイートイン。三つほどしか選択肢はありません。途中から、前日の夕飯の残りをタッパに入れ、会社の電子レンジで温めることにしました。
「Monisha、今日ランチ行く?」Annaです。
「ちょっと遠慮しときまーす」
「なになに、それ?お弁当?」Augustusは興味津々。
「うん、手作り。っていっても、残り物だけどね」
「日本食?スシ?」Erichは表情が変わらないので、冗談を言っているのか本気なのかいまいちわかりません。
「…えーと、日本食だけどお寿司じゃないです。っていうか、お寿司をお弁当に持ってくる人はいないと思う…」

やっぱりジャパン=スシなんですね。わたしたちがドイツ=ソーセージ、イギリス=フィッシュ&チップスなどと結び付けてしまうのと、同じような感覚なのでしょうか。

とは言うものの、わたしも典型的日本人なのかもしれません。ドイツにいる間、食べたかったものナンバーワンは新鮮なお寿司でした。日本レストランに時たま行き、お刺身を食べることはありました。それなりに美味しいけど、最高!というわけではありませんでした。脂ののったトロ。ふっくらとしたアナゴ。こりこりとした食感の甘いイカ。口の中にあふれるウニ。想像しただけで、つばが出てきます。

帰国当日は、母が成田まで来ることになっていました。わたしのお迎えだったら悪いなあ、と思っていたものの、東京で仕事があるとのこと。スカイプで待ち合わせ時間など、打合せです。
「で、着いたら何が食べたいん?」
「美味しいお魚!特にお寿司が食べたいわあ。飛行機が朝に着くやろ?だからその日のお昼に早速行こうと思ってるけど、どない?美登利寿司、おかーさんも食べたいと思わへん?」
「あはは、ほんまによっぽど食べたいんやねえ。行く元気があればかまへんよ」
よし、交渉成立です。

飛行機は定刻より早めに到着。税関で少々時間をくったものの、無事帰国しました。今日は木曜日。さすがに今日は出社しませんが、明日の朝から通常通りの出勤です。ようやくマンションに辿り着き、緑茶を飲んで一休み。ふー。ようやく一息つけた。

「ねーねー、おかーさん。で、何時にお寿司食べに行く?」
「えっ?……。まさか、着いた日のお昼にその脚でお寿司を食べに行きたいって本気だったん???」
「いや、その脚っていうか、最初から一旦部屋には戻るつもりやったよ?」
「そういうことじゃなくて。ほんまに今からお昼にお寿司わざわざ食べに行くん?」
「えっ?なになに、冗談だと思われてたん?ほんまに本気に決まっとうやん!」
「…元気やね」
「だってだって、ここ一ヶ月ずーっと美味しいお寿司が食べたいって思ってて、やっと今日食べられるつもりやったのに、今更違うもの食べたらわたしの胃袋が反乱を起こすわ…」
「いやいや、行く元気があるんやったらかまへんよ。疲れてるんちゃうかなあ、と思っただけ」
「後から疲れるかもしれんけど、お寿司を食べに行く元気はありあまっとうで?」

というわけで食べたのが、上の写真にある念願のお寿司「板さんおまかせにぎり」2940円なり。見た途端に感激で頭が真っ白になり、写真そっちのけですぐに食べ始めたのでいまいちな出来ですが、実物はもーっともーっと、素晴らしいものです。

帰国当日にお寿司って、食い意地張りすぎでしょうか。それとも、わたしのような人は多いのでしょうか。久々のお寿司はとりあえず、いつも以上に美味しかったです。
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by monisha | 2010-06-16 01:02 | Odds & ends